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 写真だより 佐渡発&広島発

 野草や風景を写真で綴るブログです

心が痛むこと  

心が痛む


5月25日にアップした話の続き

『ある花の撮影に行ってみると通行止めだった・・・』
通行止めの場所には柵がしてあり、
「通行止」の文字とともに車と人のマークがあったのです。

この先が、がけ崩れなのかとも思いましたが
がけ崩れとも工事中とも書かれておらず
もしかすると貴重な花の自生地を護るために
地域の人がやむを得ず設けたものかもしれません。

3年前、私がこの自生地を訪れようと自生地に通じる林道を走っていると
2台の横浜ナンバーの車が上から降りてきました。
聞いてみると、その花を見るためにやってこられたそうです。
「見るだけならいいんだけどなあ」と危惧しましたが、自生地は大丈夫でした。
ただ、それは私の知る自生地であって、それ以外にも自生地があると聞くので
危惧は完全に払しょくされたわけではありませんでした。

何れにしても遠く横浜から高いお金と時間と労力を掛けて来なければ
見ることができないほど貴重な植物となってしまったのです。
特に本州では管理地以外ではほとんど見ることができなくなったと聞きますし、
私自身も、この花(それはクマガイソウというランなのですが)を見たのは
人家の裏山の竹やぶにあるものだけで、人の手を借りない純粋な自生地で
咲いているものを見たのは佐渡が初めてなのです。

横浜ナンバーの車の人たちも純粋に『見に』来ただけかもしれませんが
どなたが声掛けをしたのか知る由はないものの、10名余りで来るのは
貴重植物の現状を考えるなら、あまりにも無防備な行為と言わざるを得ません。
貴重な植物ほど場所を特定するような情報を提供する行為は慎重を期すべきだからです。




大変前置きが長くなりましたが今日の本題に入ります。

別の場所にもクマガイソウの自生地があるとの情報があり
一人で行ってみました。おおよその場所を聞いて行ったのですが
逢いたい相手にはすぐに逢うことはできず、登山道を行ったり来たり
気が付けばかなりの時間を費やしていました。

一度来た道を引き返していると、突然目の前にそれは現れました。
何で気が付かなかったのだろうと思うほど登山道からすぐの場所です。



クマガイソウ(熊谷草) -ラン科- 5月24日撮影
袋状の唇弁を昔の武士が背負った母衣に見立て、
源平合戦の熊谷直実が背負った母衣に喩えたのが熊谷草、
一の谷の戦いで彼に討たれた平敦盛が背負った母衣に喩えたのが敦盛草です。
どちらもが絶滅危惧Ⅱ類に分類され、危うい状況にあります。

武士はやがて滅びる運命にあるなんてことは冗談にも言えません。
無抵抗な彼らを掘り取って(盗って)持ち帰る行為は許されるものではありません。
クマガイソウ1


登山道からこんなにアップで撮影できるなんて今やほとんど奇跡的です。
クマガイソウ2




この日は、もう一つ貴重なランにも対面できました。
すでに紹介した種類ですが・・・


サルメンエビネ(猿面海老根) 5月24日撮影
これも登山道から撮影したものです。
サルメンエビネ1


このような環境をいつまでも残していきたいと思いますが
そのために私ができることは何だろうと考えると、
力の無さ、発信力のなさを痛感します。
サルメンエビネ2




ヤマシャクヤク(山芍薬) -ボタン科-  5月24日撮影
こちらも全絶滅危惧になっている植物です。
クマガイソウとサルメンエビネと近い場所にあり、
絶滅危惧種に指定される花を一度に見られるこの場所は楽園ですが、
危険と隣り合わせの楽園で、秘密にせざるを得ません。
ヤマシャクヤク


毎年改定される佐渡トレッキングマップの今年の表紙写真の花がヤマシャクヤクです。
去年のコハマナスに続いて私の写真を採用していただきました。
マップ





『山野草展』が各地で催されるのを目にします。
佐渡でも行われています。
それらの山野草をどのようなルートで手に入れたのかを
私は知りませんが、出展者が直接手を下していないにしても
辿って行けば、自生地から持ち帰ったものであることに間違いありません。
(種を採取して何年もかけて花を咲かせたのであれば、まだ許容の範囲かもしれませんが・・・)


私の心が痛むのは
そうしたいわゆる山野草愛好家と呼ばれる人の中に
「わたし、枯らしちゃったのよ」とか「いつの間にか見えなくなっちゃった」
などと、割と簡単に言っているのを聞くことです。
植物も命があります。いやしくも愛好家を名乗るのであれば、
愛する山野草が枯れたり見えなくなったという事実に対して
もっと心を痛めるべきです。
私は、貴重な山野草が、山野から姿を消し、
鉢植えや庭に咲く姿しか見られなくなることに心を痛めます。
それにも増して、山野草を育てる人がそのような現状にあまり心を痛めないことに心が痛みます。

つい先日、トレッキングガイドをした帰りに乗ったタクシーの運転手さんが嘆いていたのを思い出します。
「佐渡汽船ターミナルの売店でシラネアオイの苗が売られているのはおかしいと思う」と。
私も同感です。
今年も売店にシラネアオイの苗が置いてあります。
もちろん買って帰る人もいます。家の庭や鉢植えで全国どこでも育つ植物であれば
全国どこの野山にも自生できるはずです。わざわざ船に乗って見に来なくてもいいはずです。
追跡調査をしたわけではありませんが、十中八九、買って帰ったシラネアオイは数年後には
姿を見せなくなり「あのシラネアオイ、枯れちゃったのよ」ということになるのです。
彼ら(シラネアオイ)は居心地のいい佐渡の山でずっと咲いていたかったに違いありません。
もうこれ以上自生地から貴重な植物が減っていく行為に、間接的とは言え手を貸さないでくださいと、
切に訴えたいです。

貴重な植物を紹介することは、佐渡にその植物が自生するという情報を拡散する行為であり
一歩間違えば、彼らの絶滅を早める心無い行為に加担してしまう結果になりかねません。
そうならないための最低限私ができることとしていつも訴えているわけです。
そのことを理解していただき、文章が長くなってしまったことをお許しください。

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